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『ドクターズマガジン』3月号に掲載されました。
2020.03.09
MEDIA
ドクターのヒューマンドキュメント誌『ドクターズマガジン』3月号に、岡本理事長のインタビューが掲載されました。
ぜひご覧ください。
(以下記事)
医療新時代を生き抜く桐和会の試み
求められていることは何か? その答えを追求し、実践してきた
桐和会グループ(以下、桐和会)は、「あんしん」と「まごころ」を創業の理念として、医療とリハビリテーション、そして介護ケアを提供している。
施設数はグループ全体で67(病院・クリニック、介護サービス、保育園など)を有しており、総スタッフ数は約3500人にも上る。桐和会の原点は、1993年に東京都江戸川区に開設された小さなクリニックにある。理事長である岡本和久氏は何でも相談できるかかりつけ医として、患者や住民のさまざまな要望に応えてきた。新たなクリニックを開設する際には、患者が通いやすいように必ず駅前の立地を選び、夜間診療や休日診療、病児保育室なども積極的に導入した。岡本氏は患者のさらなる要望に応えるため、クリニックにとどまらず、高齢者医療・介護ケア、認知症専門病院、療養病院、新型老健、さらに保育園なども開設していった。
一つの小さなクリニックから始まり、27年で67施設を有する規模にまで大きく発展した今もなお、新たなチャレンジを試みながら進化し続けている桐和会。岡本氏に組織が成長し続けるための秘訣を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「地域社会と時代のニーズに応えるために何が必要なのかを真剣に考え、すぐに実践してきた。ただそれだけなんです」
岡本氏は、常に患者や利用者の立場で物事を考え、本当に必要なサービスを追求し、それを迅速に形にしてきた。その結果として、現在の67施設、スタッフ総数3500人以上に発展した桐和会の姿がある。ここに至るまで、さまざまな挑戦や改革を実行してきた岡本氏。その大きな推進力となったのは、人を助ける人生を選んだ者としての強い信念であった。
業界に先駆けて、積極的に外国人スタッフを採用
急速な少子高齢化により、介護業界が抱える人材不足は深刻だ。それは介護ケアを提供している桐和会でも例外ではなかった。利用者へ満足度の高いサービスを提供するには安定した人材確保が重要となる。そこで岡本氏はある決断をした。
「外国人スタッフを積極的に採用することで、必要な人材を確保しました」
桐和会では、業界に先駆けて東南アジアとのEPA(経済連携協定)による外国人介護福祉士の受け入れを行った。しかし、どんな業界でも新たな挑戦や改革は批判の対象にもなる。桐和会でも一部の現場スタッフから外国人スタッフの採用に厳しい声が上がった。しかし、岡本氏は満足度の高い介護サービスを実現するという強い信念のもと、自身の想いや考えをスタッフに根気強く伝えながら、外国人スタッフの採用を進めていった。
実際に外国人スタッフが働き始めると現場に化学反応が起こった。外国人スタッフへの教育や指導のために現場のコミュニケーションが活性化し始めたのだ。これにより、スタッフ同士が心を通わせる環境が生まれ、お互いの信頼感が養われたことでチーム力も強固なものとなっていった。
「一番反対していたスタッフが、今では外国人スタッフの面倒を見たり、日本語教育や指導の中心役となってくれています。定年後は日本語学校を開設して教えたいとまで言っている。みんなの意識が変わったんです」
桐和会では2012年より外国人スタッフの採用を実施し、現在では全スタッフのうち約15%を外国人スタッフ(6カ国)が占める。採用は、EPAによる外国人介護福祉士の受け入れの他、海外へ直接出向き、学校訪問によるリクルーティングも実施。さらに桐和会に勤める外国人スタッフからの紹介採用が多いことも特徴だ。これは桐和会が働きやすい優れた企業として信頼を得ている証でもある。
「外国人スタッフは優秀です。みんな大学を出て看護師の資格を持っており、人間としても魅力的。人材の質の高さにいつも驚いています」
患者や利用者からの反応も良好である。外国人スタッフは日本語を話すことも問題なく、親切で丁寧。日本人スタッフと比べての違和感はほとんどない。今後も桐和会では、さらなるダイバーシティを推進していく予定だ。
“想い”や“考え”を浸透させる「病院史演劇」の導入
外国人スタッフの採用による多様化やスタッフ数の増加によって、桐和会ではある課題が浮かび上がってきた。
新たな挑戦や改革を実行する際に重要となるのは、全スタッフが目標に向かって一丸となり、歩みを進めることだ。組織活動を推進するための大きなエンジンとなる、理念やビジョンをいかに全スタッフに浸透させるかが鍵となる。
「スタッフ数が増加し組織も多様化したことで、桐和会の『想い』や『考え』を自分の声で伝え、理解してもらうことに限界が生じてきたんです。どうすればスタッフのみんなと理念やビジョンを共有することができるのか。そんな悩みを抱えていた時期に『企業史演劇』というものを知りました」
「企業史演劇」とは、企業の成り立ちやエピソードを演劇シナリオにし、創業者の理念やビジョン、想いなどを演者が分かりやすく伝える劇で、株式会社クリーク・アンド・リバー社が提供するサービスである。観覧者は演劇を通じて臨場感を伴った体験ができるため、企業の「想い」や「考え」を伝えやすく、広く浸透させることができる。岡本氏は桐和会の「病院史演劇」を制作することにした。
制作期間は約3カ月。岡本氏への取材を基に演劇シナリオが作成され、桐和会の「想い」や「考え」が詰まった、医療業界では初の試みとなる「病院史演劇」が2019年7月に完成。動画共有サービスYouTubeでその映像を公開し、外国人スタッフに向けて英語、インドネシア語、ベトナム語の字幕にも対応した。
「演劇では、主人公の看護師さんを自分自身に置き換えて見ることができ、桐和会の『想い』や『考え』を体感しやすく、スタッフのみんなに理念やビジョンを深く理解してもらうことができた。それによって桐和会で働く誇りや責任感もより高まったのではないかと感じています」
「病院史演劇」は、スタッフ教育などさまざまな場面での活用や効果も期待できる。理念やビジョンがスタッフに浸透することで組織活動が円滑になり、新たな挑戦や改革の推進も迅速化できる。
また、医療や介護の現場は、どんなに質の高いサービスを提供していても、スタッフがどれだけ優秀でも、それが外からは見えにくいという特性がある。「病院史演劇」はそれらを「見える化」することができる画期的なものであり、見る人に安心感や信頼感を与えることができるため、集患やリクルーティングなどにも活用できる。桐和会ではYouTubeだけではなく、リクルーティング専用や各施設ごとに公式Instagramアカウントを開設し、動画による情報発信を積極的に行っている。
「『病院史演劇』は病院の待合室でも流しています。桐和会の想いや考えを知っていただくことで、患者さん、利用者さん、住民の皆さん、そしてこれから社員になる方たちに、安心し、信頼してもらえればと思います」
“人を助ける人生を選んだ”という責任と誇りがある
時代と人々のニーズに応えるため、桐和会の新たなチャレンジは続いていく。2019年4月には、千葉県浦安市と千葉大学医学部附属病院と連携し、教育、研究、臨床の相乗効果による医療人材の育成と、地域に優れた医療を還元できる場所として「タムス浦安病院」を開院。2020年1月には、医療的ケア児・障害児クラスも完備した受け入れ数200人の港区立元麻布保育園を開設した。
「『こうあるべきだ』、『こうでなければいけない』、そして『これはできない』という、今までの常識や業界のしきたりにとらわれることなく、求められていることを実践していきたいと思います」
桐和会では全施設を挙げて、業界では難しいといわれてきた「おむつゼロ」施設を目指してきた。入居者にとっては尊厳が確保され、日中に何度もトイレに行くことが運動にもなり、認知症予防や自立支援につながった。現場の負担が増える懸念もあったが、トイレ介助のための夜間呼び出しが減少するなど、スタッフにとってもメリットが生まれる改革となった。
「医療や介護、福祉は決して楽な仕事ではありません。それでも人を助ける人生を選んだ以上は、患者さんや利用者さんにとって安心できる医療や介護サービスを提供し、人、地域、そして社会全体を支え、元気にするという責任がある。私たちが目指しているのは全ての人が幸せに生活できる街づくりなんですよね」と、岡本氏は語る。この言葉は桐和会の強い想いであり、ビジョンでもある。
これまで岡本氏はどんな困難に直面しても、強い信念をもって改革を実行し、走り続けてきた。これからも、同じ想いを共有したスタッフたちと共に、関わる全ての人に真摯に向き合いながら、時代と人々のさらなるニーズに応えるため走り続けていく。
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