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朝日新聞(第二埼玉)朝刊に越谷さくらの杜が掲載されました。
2020.10.22
MEDIA
2020年10月15日(水)朝日新聞(第二埼玉)朝刊に越谷さくらの杜で開催された花火大会が掲載されました。
■以下記事本文
コロナ禍の特養ホーム『花火大会 笑顔咲いた』
新型コロナウイルスに感染した場合に重症化リスクが高いとされる高齢者が入居する介護施設では、家族や外部のボランティアなどとの交流がほぼ途絶え、日々の楽しみや生きがいを失っているお年寄りが少なくない。そんな入居者と家族らに笑顔を届けようと、越谷市の特別養護老人ホームで手作りの花火大会が開かれた。
—会えぬ家族に中継
9月28日、午後5時すぎ。越谷市新川町の『越谷さくらの杜』の屋外駐車場に、車いすに乗ったお年寄りたちが続々と集まってきた。密にならないようにと、第一部の約60人が距離を置き、横一列に並んだ。
スタッフによるショーで幕開け。美空ひばり、山口百恵、北島三郎らの懐かしの曲に合わせ、ユーモアたっぷりの踊りで笑いを誘った。
そして、花火。若手スタッフが立て続けに9カ所同時に火をつけると、色とりどりの火花が噴き出した。見せ場は長さ30㍍のナイアガラ花火。目の前を滝のように流れる光景に、入居者に柔らかな表情が広がった。女性(92)は「すてき。人生最高の花火」と興奮冷めやらぬ様子。男性(78)は「しばらくぶりに感動した。スタッフさんがよくやってくれた」と感謝した。
感染拡大を防ぐため、参加を見送った家族にも、同じ時間、同じ景色を一緒に楽しんでもらおうと、スタッフがカメラを回し、インスタグラムで生中継した。家族からは「途中で母の顔も映ってうれしかった。来年はじかに皆さんと一緒に花火を見られるといいですね」などの声が寄せられたという。
—不安と緊張の日々
同施設には、要介護度3~5の約140人が暮らす。これまで入居者の家族や地域住民を招き、300人規模で夏祭りを開いてきた。だが、今年はコロナ禍で中止を余儀なくされた。
入居者と家族の面会は、窓越しやオンラインに切り替えている。少しでも安心してもらおうと、スタッフが入居者の様子を撮影し、手紙やSNSで家族に送っているが、家族のぬくもりを感じる機会は断たれたまま。コロナの影響と認識している入居者は少なく、この半年間で認知症が進んでしまった人もいるという。
感染者は1人も出ていないが、コロナ禍出の開催に当初は慎重なスタッフも少なくなかったという。だが、事務次長(当時)の根本祐輔さん(37)は「入居者の楽しみが減っている現状で、『コロナだから無理』と諦めるのではなく、やれることを模索しようと呼びかけた」と話す。
見えないウイルスとの闘いに、現場のスタッフが不安や緊張感を抱えながら働く生活も長期化している。
「自分から入居者にうつしたらどうしよう」「家族に会えないのがかわいそうで、寂しがる姿を見ると切なくなる」「自分もつらいが、入居者のために明るく笑顔でいよう」……。
そんなスタッフのストレスをいかに軽くできるか、根本さんは「非常に難しい」と話す。花火大会はスタッフのストレスを発散させる場も兼ねていた。一人ひとりに目を配り、個別面談の回数を増やすなど心のケアにも力を入れている。
みんなにとって温かな希望の光になりますように——。そんな願いが込められた花火大会。「コロナ禍でなんとか明るい話題を」「笑顔を届けたい」と、寄り添うスタッフが、介護の現場にたくさんいる。